
夏の前の嫌なものといえば梅雨。ジメジメして気が滅入りますが、これが終われば夏到来。
こうして季節は移り変わりますが、イタリアには四季はあっても梅雨はありません。似たものに雨季がありますが、その11月がイタリアでもっとも雨が降る時期です。
日本のような1日続く雨ではなく、スコールのような一時的な雨が降ります。
なんとも羨ましい気候ですが、雨に欠かせないものといえば傘。英語ではアンブレラですが、イタリア語ではオンブレッロといいます。

ちなみに傘について興味深い光景が見られるイタリアの町といえばローマ。
ローマでは傘がいらないといわれます。
ピンポイントで雨が降らない地域なわけではありません、町の雨除けが発達しているわけでもありません。
雨が降り始めて10分もすれば、いくつもの傘を腕にぶらさげた傘売りが現れるからです。
傘の歴史は古く4000年前にはあったようで、エジプトやペルシャの壁画に描かれています。
いにしえの傘たちは、どうやら雨除けというよりも天蓋の延長線のような日傘としての役割が大きかったようです。

傘が私たちにとって身近な姿になったのは、13世紀のイタリアが最初。
当時はフレームの材料に木材のほかにクジラの骨が使われていたために、16世紀になっても庶民にとって身近なものではありませんでした。
貴族の娘が嫁入り道具として嫁ぎ先に持って行ったり、遺産として遺言書に記されるような、富と権力の象徴のような代物でした。
ただ、当時のヨーロッパで傘に思い入れがあったのは、イタリア人だけではありません。
フランスでもとても人気があり、貴婦人たちがこぞってイタリアから取り寄せていたそうです。
そうした時代背景があるからか、今でも日本のビニール傘に驚くヨーロッパ人は少なくないとか。

ヨーロッパの傘文化の発展の一翼を担ったイタリアですが、時代の流れとともに大きく変わったこともあります。
傘の歴史をひも解くと、もともとは日よけのために用いられましたが、今のイタリアでは日傘を差す人は少ないとか。
イタリアといえば日焼け天国。
三度の飯よりというのは大げさですが、イタリア人は肌を焼くのがとても好きで、現地では夏場に日傘を差す日本人観光客の姿を物珍しそうに見ているとか。
ただ、世界的に紫外線を気にする時代。日本食がヘルシーだと世界中に広がったように、日傘を差すイタリア人が増えるかもしれません。