
イタリアのファッションには、説明しがたい「美」があります。
それは、デザインや素材、仕立ての良さだけでは語り尽くせないものです。
その“何か”の正体を探っていくと、意外なところにたどり着きます。
それは、イタリア絵画です。
特に、現代イタリアブランド ETRO(エトロ)と、17世紀のバロック画家 カラヴァッジョの間には、あまり知られていない美のつながりが存在します。

カラヴァッジョとETROに共通する「色彩」の力
カラヴァッジョ(1571–1610)は、バロック絵画を代表する巨匠。
“光と影の魔術師”とも呼ばれ、明暗のコントラストを活かしたドラマチックな表現で人々を魅了してきました。
一方、ETROのコレクションもまた、強い光と濃密な色彩、深い陰影を感じさせるテキスタイルで知られています。
とくに印象的なのは、「赤」と「黒」の使い方。
実はETROの創業者ジンモ・エトロ氏は、美術史を学んでおり、インタビューでこう語っています:
「私の色彩感覚は絵画から来ている。特にカラヴァッジョの赤と黒の使い方は、生地を選ぶときにいつも頭に浮かぶ」
(出典:Il Foglio Moda 2012年特集号)
つまり、ETROの服には絵画的な配色の哲学が息づいているのです。

「バロックの精神」がファッションに宿る
ETROのコレクションは、トレンドを追うだけの服ではありません。
その一つひとつがまるで物語を語るバロック絵画のようなのです。
例えば、2020年秋冬コレクションの黒地に金刺繍が施されたジャケット。
その緊張感と重厚な美しさは、まるでカラヴァッジョの『ホロフェルネスの首を斬るユディト』を彷彿とさせます。
また、イタリア国内の美術研究者によると、ETROのアトリエにはカラヴァッジョやティントレット、ティツィアーノの色彩を研究した社外秘の色見本帳が存在しているとも。
このように、ETROの服はただ着るだけでなく、歴史と芸術を身にまとう行為でもあるのです。
なぜイタリアファッションは“絵画的”なのか?
日本ではあまり意識されませんが、イタリアでは美術とファッションが明確に分かれていません。
子どもたちは小学生の頃から油彩模写を経験し、美術館に通う文化が根付いています。
そして、芸術家とファッションデザイナーのどちらも「Artigiano(造形芸術家)」と呼ばれるのです。
そんな土壌の中で育ったETROが、カラヴァッジョに影響を受けるのは、ある意味当然なのかもしれません。
ETROを着ることは、“カラヴァッジョの余韻”を纏うこと
ETROの服を着るということは、単なるファッションではなく、400年前の絵画の美意識を現代に引き継ぐことでもあります。
一枚のジャケットに込められた色、柄、陰影。
そのすべてが、かつての巨匠のまなざしと重なり合っていると気づいたとき、あなたの着こなしに新たなストーリーが生まれるかもしれません。

ちなみに──カラヴァッジョの名画が大阪万博にやってくる

2025年の大阪・関西万博において、イタリア館の中にあるバチカン館にてカラヴァッジョの名画『キリストの埋葬』が展示されることが発表されました。
この作品は、バチカン美術館が所蔵する唯一のカラヴァッジョ作品であり、日本での展示は極めて稀な機会です。
「Via Pulchritudinis(美の道)」をテーマに、希望と信仰を表現するこの展示は、まさにETROが体現する“着る芸術”と呼応するもの。
ETROを纏ってこの絵画を鑑賞する。
それは、イタリアの美があなたの中でひとつになる、贅沢な時間となるでしょう。
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