好きなことをして生きることの本質― 誰かの正解ではなく、自分の好きで進む

都会の高層ビル群を見上げた風景。整然としたガラスの建物が象徴する「安定」や「社会的成功」。

「良い学校に入る」「大きな会社に就職する」「安定した人生を歩む」
これはきっと、親や周囲が“安心・安全”を願うからこその言葉なのだと思います。

私自身、誰かと直接比較された記憶はありませんが、子どもの頃から受験という競争の中で育ち、
気づけば「人と比べて価値を測る」クセが自然と身についていました。

大学に入り、少しずつ自分の価値観を持てるようになったつもりでも、就職活動のときには結局、「大きな会社」という“正解らしきもの”を選んでいました。

当時はそれを“自分で選んだ人生”だと思っていました。でも今振り返ると、「誰かにとっての正解」に引っ張られていたのかもしれません。

身近な人との別れと、人生の再選択

就職してからの10年、少しずつ「自分の適性とは違うかもしれない」と感じながら模索を続ける日々でした。その間に、両親を含む大切な人たちとの別れも経験しました。「人生は有限だ」とリアルに感じたとき、ようやく自分の“本音”に目を向けはじめた気がします。

自分の本音と向き合い、会社を辞める決断をした後は、自分の意思で選んだ道を歩けることに、ワクワクしていたのを覚えています。

もちろん、思い通りにいくことばかりではありません。でも、自分の心で選んだ道だからこそ、うまくいかないときさえも受け入れられる。その過程すら、楽しめているように思います。

「暗闇の中に静かに灯るろうそくの光。祈りや追悼、静寂の象徴。」

父からもらった“生き方のヒント”

学生時代にビジネスを始めたとき、
一番応援してくれたのが父でした。

「会社を作ってみたらどうだ」と言ってくれたのも父でした。父の人生では選べなかった“好きなことを仕事にする生き方”を、私が選ぼうとしている姿に、どこか自身を重ねて見ていたのかもしれません。だからこそ、心配しながらも応援してくれていたのだと思います。

ただ、今の私にとって本当に大きな影響を与えているのは、そうしたことよりも、父自身の“生き方”そのものかもしれません。

父は、「好きなことを仕事にする」ことができた世代ではありませんでした。理不尽なことも、苦手な人も、避けられない現実もたくさんあったはずです。そんななかで「どう楽しむか」を自分なりに見つけながら生きていたように思います。

それは、父が自分の人生を幸せにするために選んだ“姿勢”なのだと思います。

そして今、好きなことを仕事にできている私にとっても、人生の中で起きる避けられない出来事や困難に向き合うとき、その姿勢は大きなヒントになっています。

ちなみに、父の言葉で学生時代に設立した会社は長らく休眠していましたが、今年、社名を変えて新たな組織として再出発することになりました。“第23期”からの再スタート。父から始まった流れが今も続いているようで、ちょっと感慨深く感じています。

夕暮れの海辺で子どもを抱く父のシルエット。親子の絆と人生の有限性を象徴する場面。

「好き」を選ぶことは、成長のはじまり

「可愛い子には旅をさせよ」
これは仏教的な知恵でもあります。
リスクのある未知の世界にこそ、人間的な成長があるということ。

安心や安定を与えたいという親心はとても理解できます。でも時に、それが子どもの「主体性」や「適性」を覆ってしまうこともある。

私自身、「数学が好きだから数学部に行きたい」と言ったとき、「就職を考えるなら他の学部の方がいい」と言われ、別の選択をしたことがあります。それも善意からのアドバイスだったと思います。でも、そのとき少しだけ、自分の“好き”を手放したのも事実です。

誰かの正解より、自分の“好き”を選ぶこと。そこから本当の成長が始まるのだと思います。

整然と並ぶ試験用の机と椅子。受験や競争の象徴的な光景。

自分らしく生きるとは

最近、心に残っている言葉があります。
「人間の唯一の義務は、自分自身であること」

仏教には、「天上天下唯我独尊」という教えがあります。これは、誰もが唯一無二の存在であり、自分自身の人生をまっすぐに生きる価値がある、という意味です。

また、釈迦が晩年に弟子たちへ残した言葉に、「自灯明・法灯明」──自らを灯火とし、自らの心を頼りに歩めという教えがあります。人と比べるのではなく、自分の内なる声に耳を傾けて生きることの大切さを説いています。

“自分自身である”とは、まさにそのように、
自分の心に正直であり、そしてそれを社会の中で活かしていくことなのだと思います。

私にとっての幸せは、「好きなことで誰かの役に立てる」と感じられる瞬間です。アパレルの仕事を通して、イタリアの文化や美意識を伝えながら、自分の感性を活かせる今は、「社会の中で自分自身である」ことを実感できています。

そして同時に、好きなことを仕事にし、自分らしく生きる人たちを支えていくこと。
それが、私にとっての役割であり、心からやりたいことです。

若い人たちへ

だから私は、もし悩んでいる若い人たちが居るなら伝えたいのです。

“好きなこと”や“やりたいこと”があるなら、
「安心」や「周りが考える正解」だけを基準に、道を狭めないでほしい。

自分の心に正直に、やりたいことへ進む選択は、
決して甘えではなく、むしろいちばん健全で誇れる道だと、私は思います。

そして、結果的にそれが、
本当の意味で“安心できる人生”につながるはずです。

迷ったときは、どうか自分の“好き”に耳を傾けてみてください。
きっとそこに、自分らしい人生のヒントがあるはずです。

公園を歩く学生たちの後ろ姿。進路を模索する若者のイメージ。

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無難を選びがちな日本人男性に、色と柄を楽しむことの面白さを伝えたい。褒められることで、自信が芽生える。気分が上がることで、視界が変わる。色と柄がくれる、そんな小さな変化の積み重ねが、きっと“新しい自分”を連れてきてくれる。「ファッションは、自分をもっと好きになるためのもの。」それが、Utsubo Stockの原点です。

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